shs506 違和感こそ、小論文のエネルギー源 [小論文]
先日、担当している高1生に小論文テストをやりました。
優等生は、概して家族的に恵まれています。家族は温かくていいものだと思ってます。しかも優等生は物事を疑うのが苦手です。
小論テストはたいてい市販の教材を使うのですが、私の場合は問題も評価もすべて自前です。安いし、自分の好みに合った出題ができます。
私が高1によく出すのは、家族論。これだと取っ付きやすいし、その割に考えられることはいっぱいあります。今回は山田太一の1977年のエッセイをネタに、家族論を書かせてみました。
いや〜、やっぱ面白いっすね、生徒の書いた文章を読むのは。これだから小論指導は止められないのですよ。この面白さ、業者には絶対にわかりません。だってこちとら、生徒の素性も普段の様子も知ってるんですから。
4年ほど前に、某業者の小論テストをやった時、答案を送付する前に私は全部の答案に目を通しました。で、3点ほど面白い答案があったので、それを本人の承諾を得て「進路だより」に掲載しました。この3点は生徒にも教員にも評判が良かったです。
ところが、業者の採点ではこの3点はあまり評価されていなかったのです。
業者の採点では評価が細分化されていて、作文技術(文章表現、文字の読みやすさ、原稿用紙の正しい使い方)に重点が置かれていました。
小論文ビギナーにとって一番重要なのは、視点観点です。課題文に対して、いい切り口で攻められるかどうか。基本的な構成ができているかとか、作文技術がどうかなんてのは、まあどうってことはない。2週間もあれば身に付く初歩的な技術です。
この時に私は確信しました。業者は必ずしもアテにならないと。
さて。今回の山田太一のエッセイは「お互いの喜びや悲しみを共有できさえすれば、家族はバラバラであるのが健康的だ」というお話です。
生徒に家族論を書かせることの最大の面白さは、優等生ほどロクな答案が書けないことです。
そこにいきなり「家族はバラバラがいい」とぶつけられると、さてどう反応してくるか?
筆者の意見にすっかり説得されてしまうか、通り一遍の反論をするか、そのくらいしかできません。
日頃デキのいい生徒の答案は、だいたいつまらないんです。
一方、家族との軋轢を抱えている生徒は、こういう話題にしっかり食いついてきます。
こういう生徒にとって、家族は水や空気のような自然な存在ではない。「いったい家族って何なんだろう?」と、問いかけなければ気が済まないような対象です。
つまり、日頃から家族というものを対象化(ssh202参照)している。
もっと言えば、彼ら彼女らは、家族というものに違和感を持っている。
だから、彼ら彼女らの書いてくる答案は、すごく面白い。体験を基にした具体例も、読んでいてグッと来る。
人間、「当たり前」「常識」「当然」「普通」と思っているものごとに対しては、それ以上なにかを考えようとはしません。
しかし。それでは、思考は深まりません。
少なくとも、大学で学ぼうというのであれば、常識を疑う姿勢は絶対に必要です。
大学の研究は、ある意味、常識を覆すための研究がされています。
今まで不可能だったことを可能とする技術や発見。
今まで定説とされていたことを否定する説。
常識をただの常識と受け止める姿勢では、とてもそういう研究には参加できません。
常識を疑うことに慣れているのは、いろいろなことに違和感を持っている人間です。
違和感を否定せず、違和感を大事にしてください。
違和感は、ものごとを考える原動力です。
sshがつねづね「常識を疑え(ssh30参照)」と言っているのは、それこそがものごとを考えるために有効なものだからです。
ものを考える上で実は一番やっかいなのは、自分にとっての「常識」「当たり前」について考えることです。
親には孝行すべし。
年長者には敬意を表すべし。
授業中は静かにすべし。
早寝早起きすべし。
国旗国家は大切にすべし。
どれも常識ではあります(全ての人が同意するかは知りませんが)。
でも、それを疑い、対象化し、「なぜ?」と問わねば、異論を説得することはできません(力づくで屈服させることは可能かもしれませんけど、それは説得ではない)。
だから。
日頃、いろんなことに違和感を感じているというあなた。
あなたには、大きな可能性があります。少なくとも小論文に関しては。
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これは面白い文ですね。
うちはいろいろ違和感??感じます。だからさんざん日記で愚痴ってます。
親には孝行すべし。
年長者には敬意を表すべし。
授業中は静かにすべし。
早寝早起きすべし。
国旗国家は大切にすべし。
というの
うちにはまあまあ当たり前ですが
どうもそれを常識だ!当たり前だ!という声になんか不安感じます。
なんかおかしいと感じます。
例えば
うちがなんとな~~く思う当たり前?と少し思うことを、強調していう人になんかおかしいと感じました。
http://life-ayu.blog.so-net.ne.jp/2011-06-13
これはその例です。
ネット世論?みたらなんか不安・なんかおかしいことをよく見かけます。
これも違和感ていうんでしょうか?
by ayu15 (2012-02-09 11:04)
違和感だらけです、私の人生。
異邦人なのかもしれません、私の本性。
バラバラですよ、私の家族。
喜びも悲しみも共有してくれません、私が病気だから。
【僕の病気は四重奏】
by Hirosuke (2012-02-09 11:55)
【家族論】なんか出題されたら、高1の私は困り果ててしまいます。
いったい誰が【真実】だと信じてくれるでしょうか。
きっとB級映画の脚本とでも思われるでしょう。
【YAMATO高校♪合唱部「わが◆マイルストーン」】
by Hirosuke (2012-02-09 12:01)
>ハマコウさん、niceありがとうございます。
>ムッシュさん、niceありがとうございます。
>あゆさん、コメントありがとうございます。
違和感を大切に、というアドバイスは、実はかなり残酷でもあるんです。それは自分の違和感を対象化して表現できるまで頑張れという意味ですから、すごく重労働を求めているんです。
>Hirosukeさん、nice&コメントありがとうございます。
ああ、確かにHirosukeさんのブログからはそういう苦しさが伝わってきます。だからと言って違和感を捨ててしまうと自分じゃなくってしまいますから、何ともつらいですよね。
>tyuuriさん、niceありがとうございます。
>心如さん、niceありがとうございます。
by shira (2012-02-09 20:36)
小学校の作文指導でも、同じようなことが言えますね。
教科書は、文章を書く技術を重視しています。
コンクールや文集用の作文は、児童の思いとか感覚とかを大事にします。
どちらも大事なんですけどね。
by HIROMI (2012-02-09 21:28)
>HIROMIさん、nice&コメントありがとうございます。
小学校の作文指導は悩ましいと思いますよ。高校の場合、大学入試とか入社試験とかの即物的なカベがあるので「これじゃ受からないよ」という脅し文句が使えるぶん、ずいぶんラクです。その代わり、受からせなければならないというプレッシャーもありますが。
by shira (2012-02-09 22:43)