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ssh505 それでも、やる。 [教育問題]

 2月になりました。私立大学の一般入試のハイシーズン突入です。
 私が勤務する県立高校の3年生も、いよいよ出陣です。
 この時期の3年生は特別編成授業という、補習のようなプログラムが用意されています。
 もちろん、それとは別に、個別指導もやります。特に面接・小論文は個別指導が命。

 と、ここまで読んで「は?」と思った方もおいででしょう。
 なんで県立高校の職員が、2月になって受験指導や個別指導をやってるの?と。
 そういう方はたぶん、東京とか横浜とか大阪とか、大都市部の住人でしょう。
 都市部の公立高校では、受験に関する事細かな指導はほぼまったくしないようです。そーゆーことは放課後に塾なり予備校なりでやってもらいなさい、と。

 え?東京は以前とは違うって?
 はいはい、それは予算をドーピングしてもらっている日比谷など一部の都立高校のことでしょう。
 そーゆー高校はたぶん、あれこれケアしているんでしょう。

 でもね。
 んなもん、イナカじゃごくごく当たり前のことです。偉くもなんともないですよ。
 何せイナカにゃ予備校も塾もそんなにありません。
 何だかんだ言いつつ、最後は学校の先生が頼りです。
 頼られている以上、生徒達を何とかしてやらねばならんのですよ、イナカの教職員は。

 ここのところ、3年の担任のところには、ひっきりなしに生徒が来ています。
 それは出願の相談だったり、添削のお願いだったり、個別指導だったりですが、とにかくひっきりなしです。
 3年担任の先生方は、その生徒達に親身になって応対しています。
 厄介な過去問の添削は、家に持ち帰ってからこなして、翌日生徒に指導をしています。
 それはまさに、身を削るというか、大げさに言えば命の一部を削るような仕事ぶりです。
 疲れとストレスとその他もろもろと戦いながら、しかし担任は言います。

 「あー、何とかして受からせてやりたいなあ・・・。」


 断っておきますが、生徒達の受験結果がどうであっても、私たちにこれといって利益も損失もありません。
 たくさん合格しようが、その逆だろうが、私たちの待遇に変わりはありません。
 そもそも人事異動で10年以内に異動するんですから、何が起きようと教職員個人にはどうということもないのです。

 でも。それでも。
 私たちは、ヒーヒー言いながら生徒たちを最後まで面倒見ます。
 だって、放っておけないから。
 目の前に、進路実現のために苦労している生徒がいる。
 であれば、何とかしてやりたい。
 ただ、それだけです。


 ただし。
 それができない、やるわけにいかないというところもあります。
 例えば公立中学では(少なくとも私の地元のイナカでは)細かい学習面のケアは困難なようです。
 中学生は最も不安定な時期であり、生活面で様々な問題を起こします。加えて、中学は行政からのリクエストも多い。研究授業だのレポートだのなんだのと、やたらと「上」から宿題が出される。クラブもあるし、学習面でもレベル差が大きいし、クラスサイズも小学校より大きいしで、とても一人一人の学習を丁寧にケアしている余裕はありません。
 一言で言えば、中学校には、生徒に丁寧に勉強を教える余裕がない。ひどい言い方ですが、これが現実です。
 多くの中学では、個別指導は一切やりません。ある先生がそういう行為に出ると、他のクラスの保護者から「何であのクラスはやってるのにウチは・・・」とクレームが来るのは明白です。それは学校の秩序を破壊する。中学では、一番忙しい先生にできる仕事のレベルに合わせて、全体のレベルを下げて設定せざるを得ません。だから高校入試は塾が頼りです。


 今日もたくさんの3年生が添削や個別指導を求めてやってきています。
 それに応えるべく、職員も見ていて怖いくらいの頑張りで指導しています。

 その労力は、報われるのか?
 そんなこと、わかりません。というか、知ったこっちゃない。
 報われようが報われまいが、やるだけです。
 どれだけやったら報われるのか?そんなことを考えるヤツに、教育の仕事は向いていません。
 そういう人は、ビジネスの世界に行くのがよろしい。費用対対価の計算が効かないのが教育です。
 場合によっては、絶対に結果につながらないことのために全力で努力することすら選択するのが教育の世界です。


 だから。
 とにかく、やる。
 いろんな意見や批判や茶々や悪口雑言があるでしょう。
 それでも、やる。
 結果のことは、やっている最中は考えていません。
 結果よりも何よりも、とにかく、やる。
 結果が望めなくても、それでも、やる。
 ただ、それだけ。

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コメント 12

Hirosuke

Just do it!ですね。
by Hirosuke (2012-02-04 07:07) 

HIROMI

公立学校の教師は、給料にはまったく関係が無くても、子どものために動いてしまいますよね。絶対割に合わなくても。悔いを残したくないですから。それで日本の教育って、成り立ってるんだと思います。これに成果主義が取り入れられてしまったら…恐ろしいことです。
by HIROMI (2012-02-04 12:15) 

bashy0322

目の前にいる生徒を見たら、職場環境うんぬんをいえなくなりますね。

そこにつけ込む管理職という図もあるのかもしれませんが・・・。
by bashy0322 (2012-02-04 13:36) 

tyuuri

 そうですね。公立中学校にはそう言う余裕はありません。そもそも特別編成授業なんてありません。3年は卒業式の一週間前からは卒業式の準備期間になりますが、それまでは普通の授業です。今は6時間の日が週3回で授業が終わって清掃が済むともう4時10分です。勤務終了が5時ですから、生徒の面倒を見ることなど出来ません。5時間の日は大体学年会や職員会議など会議が入っています。
 札幌では公立高校もそんなに面倒見は良くないようです。2月に入ると受験休みで授業が無くなります。後は勝手になさい、ってことでしょうか。受験のない息子は、高校の許可を取って、自動車学校に通っています。
by tyuuri (2012-02-04 15:56) 

Masaka

本当にいつも元気が出ます。
心より感謝します。
内田樹氏の文章も元気が出ますが、shiraさんの文章も実に元気が出ます。勇気百倍です。ありがとうございます。


by Masaka (2012-02-04 18:13) 

shira

>ハマコウさん、niceありがとうございます。
>心如さん、niceありがとうございます。
>キューティーHirosukeさん、nice&コメントありがとうございます。
 ええ、生徒も先生もJust do itです。
>HIROMIさん、nice&コメントありがとうございます。
 教育に限らず、現場ってのはこういう気持ちで動いているんです。橋下某は「現場がわかってない」とよく力むらしいですが、彼も教育現場のことなんか全然わかってないでしょうに。
>bashyさん、nice&コメントありがとうございます。
 つけこむ管理職という図式は、全部じゃないにしても残念ながら一部にありますね。尾木ママもここいら辺を指摘していますが、メディアはあまり丁寧に扱ってくれません。
>tyuuriさん、nice&コメントありがとうございます。
 自分の子どもの通っている中学を見ていても、本当に中学の先生は日常に忙殺されていて余裕がまったくないという感じです。高校については、市街地ほど民間=塾や予備校にお任せという風潮が強いようです。まだ未確認なのですが、東京と大阪で石原・橋下的教育カイカクが支持されるのは、公立学校の先生たちが多くの保護者の支持を得られていないのが理由なんじゃないのかという懸念を持ってるんですよ。
>Masakaさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
 まあ、やるしかないですもんね、目の前に生徒がいる以上は。
by shira (2012-02-04 23:58) 

tommy88

だから決めていることは、好きだからやる。楽しいからやる。見回していたら腹が立つから、「オレが何とかしちゃる」です。少なくとも、日本を何とかする救世主の片割れでも作らねばならない。魂の注入です。・・・学校評価のアンケートには、それでもぼろくそに書かれるのです。「やる気があるのは分かりますが」とか、「入学式でいった言葉は」とか「隠蔽体質」だとか、根拠もなく罵る親御さん。自分の頭で考えて、自分で決めてよ。私は目の前の仕事を楽しんでいるんだから。それも後、数年。
by tommy88 (2012-02-05 05:32) 

きりたん

卒業していく教師、保育者の卵たちに、
教育へのPassionを植えつけておきたい、と思っています。
自分がする仕事に誇りとプライドを持っていてほしい。
職場ではいろんな人間関係もあるだろうけど、
なによりも子どもたちのためを判断の基準としてほしい、
と願っています。
by きりたん (2012-02-05 16:01) 

shira

>Hirosukeさん、niceありがとうございます。
>Ladybirdさん、niceありがとうございます。
>tommy88さん、nice&コメントありがとうございます。
 先生が仕事を機嫌良く楽しそうにやっているというのは、すごく教育効果があると思います。私の高校の担任は恐ろしくわかりにくい板書とプリントの授業をしましたが、とにかく歴史が好きで好きでたまらないという感じでして、そのことはすごくありがたかったです。
>きりたんさん、nice&コメントありがとうございます。
 そうですよね、教師のタマゴ、保護者のタマゴですもんね。
>マチャさん、niceありがとうございます。
by shira (2012-02-05 22:33) 

ayu15

中学校には、生徒に丁寧に勉強を教える余裕がないんですか。うちの予想通りかも。

医師・弁護士・教師・介護士・看護師とかはゆとりが必要だと思っています。

前の2者はともかくとして、生活の心配する給料はまずいし、いつクビになるかわからん不安定さもまずいと思うんです。
せめてこれらの職業の現場だけでも人員ギリギリでなくゆとり持ってお仕事にうちこめる環境整えてあげれたらと思います。
ここの人に個別配慮するにはゆとりが必要かと思うんです。

忙しい。
命令したがえ!と圧力
意見言いにくい。

教師が息が詰まる学校は生徒もイキが詰まりそう。


by ayu15 (2012-02-07 16:45) 

shira

>suzuranさん、初めまして。niceありがとうございます。
>ムッシュさん、niceありがとうございます。
>あゆさん、nice&コメントありがとうございます。
 ええ、中学は本当に殺人的な状態です。外部から批判されたって、無い袖は触れないというのが現状です。批判する人は批判することで溜飲を下げているだけで、本当に子どもたちをどうにかしようとは思ってないのでしょうね。
>きゅんぱちさん、niceありがとうございます。
by shira (2012-02-08 22:27) 

plain

>私たちは、ヒーヒー言いながら生徒たちを最後まで面倒見ます。
>だって、放っておけないから。
>目の前に、進路実現のために苦労している生徒がいる。
>であれば、何とかしてやりたい。
>ただ、それだけです。

そうなんですよね~。こういう人種ですから。
shiraさんのおっしゃるように、中学ではもう少し大変ですから、
中学校が破たんしているんですよね~。
なのに、何にも気づかないのかなぁ~。>世の中の偉い人
これが広がると、大変なことになるのに…。
by plain (2012-02-24 00:15) 

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